お悩み相談

小児病院で働いているものです。
私はNICUで約10年働いています。毎日呼吸器を使用しているこどもたちの看護をしています。
新生児にも集中ケア認定があるのですが、職場の新生児集中ケア認定看護師たちとは違った視点から、こどもたちのことが考えられればと思い、呼吸に関しての知識を深めたいと思っています。
呼吸療法認定士も取得しています。
慢性呼吸器疾患看護認定看護師の資格は、成人分野が多いかと思いますが、こんな私は受験資格はあるのでしょうか?
また小児分野で働いておられる修了生はいらっしゃいますか?

アドバイス

私は現在国立病院機構の病院で神経難病(ALSなど)患者様や重症心身障がい児(者)の看護をしています。
以前は小児専門病院で急性期も含めた循環器疾患の子どものケアをし、その後看護基礎教育で小児看護学を担当していました。

 

確かに慢性呼吸器疾患看護認定看護師の領域は成人・高齢者が対象となることが多いと思います。
実際に研修で学んだ理論も、自己効力理論、病みの軌跡、成人型学習理論等で、学習する疾患やケアもCOPDに関連することがとても多く、はじめは場違いなところに来てしまったと思いました。
修了生には重症心身障がい児のケアをしている仲間は多いですが、やはり「はじめは場違いなところに来てしまったのではないかと思った」と言っています。
しかし、認定看護師として働いている今は「成人の学習が多かったけれど、今の仕事に幅が出たし、直接役立つ」という意見がとても多く聞かれます。

 

私は小児看護を自分の専門領域でありたいと思っております。
そういう私がこの慢性呼吸器疾患看護認定看護師としてどのような事が出来るのかを常に考えております。
これまでの経験から下記のようなことを思っています。

 

  • 喘息は慢性呼吸器疾患看護の専門領域です。特に吸入療法については研修カリキュラムでも直接学びました。
  • 小児はどのような状況であっても成長発達をし続け、それを保障していくことは私達ケアする者の責務です。
    成長発達するには様々な経験をしていくことが重要です。
    しかしその時に呼吸困難等があることで健康なら経験できるであろうことがしづらくなり、その子の発達を阻害するリスクは大きくなります。
    ですので、呼吸器疾患のある小児に対して、呼吸を安楽にする方法や、疾患とうまく付き合いながら生活をしていくという考え方を指導していくにあたり、慢性呼吸器疾患看護認定看護師としての知識や技術は有効であると考えています。
  • 長期的に「気管切開」をしている子どものケアは慢性呼吸器疾患看護認定看護師の役割ではないかと思います。
    治療は同じことをするにもケアは急性期と慢性期では異なる考え方に基づいて行うところがあるように思うからです。
  • 450gで出生した子どもが今NPPVをしながら時々レスパイトに来ます。
    NICUを卒業した子どもの将来を考える上ではあなたの経験は大きく活かせるように思います。
    実際に重症心身障がい児病棟はpost-NICUの役割を担っています。
  • 今、在宅看護が注目されています。これは小児でも成人でも重要なキーワードです。
    研修カリキュラムでは在宅看護について深く学びますし、慢性呼吸器疾患看護認定看護師が大きな役割を担う部分だと思っています。

 

その他にも、地域で小児に対して慢性呼吸器疾患看護認定看護師として何が出来るかも考え続けていきたいと思っています。
子どもに対する禁煙教室や、訪問看護ステーションと連携して在宅人工呼吸器使用の子どものケアも考えていきたいと思っています。
このような私が言えるのは、自分の急性期中心だった臨床経験が、研修を通して慢性期領域を学習して幅が広がったことは間違いがないということです。
また、認定看護師の役割の一つであるスタッフ教育に関しては、研修で学んだ知識や心構えはとても有効です。
残念ながらNICUを経験した方で慢性呼吸器疾患看護認定看護師をしている方を私は知りませんが、それはあなたにしかできないことなのではないかと思います。
あなたが慢性呼吸器疾患看護認定看護師になってやれることは無限大だと思います。
将来一緒の仲間として学び合えたら嬉しいと思っています。

 

国立病院機構 あわら病院 慢性呼吸器疾患看護認定看護師 藤井幸雄